本記事について
- 人間にとってコミュニケーションは、特に意思や感情、情報をやりとりするうえで欠かせない行為である。
- 我々異常者は、知識や情報・嘘偽りのない意見のやりとりを会話の主目的とする一方、健常者は感情を共有する目的、さらには自分にとって好ましい結果をもたらす手段として積極的にコミュニケーションを用いていると、事例を読むなかで思い至った。
本記事の目的
会話の目的を情報伝達に限っているゆえに、健常行動ブレイクした事例の紹介
事例
第一節:自分の考えや態度を「情報伝達の一環」として嘘偽りなく表明し、会話に影響した事例
「Tinderで相手が求める以上の説明をしてはいけない」
- 健常者は、コミュニケーションを「関係構築の糸口」として用いることがある。(cf.問題の解決を目的としない会話も存在する)
- このような目的のもと会話が行われる場合、情報を効率よく短時間で伝える形式よりも、ある程度キャッチボールを行える形式のほうが好まれる。
「話しかけてきた"友人"が誰かわからなくてもそのことを明確に相手に伝えてはいけない」
「人間に興味があるふりをしたほうがよい」
「天気の話題にマジレスしてはいけない」
- 健常者は、コミュニケーションを「その場を成立させ、相手との心地よい人間関係を維持する」為に用いることがある。
- 健常者が手段としてコミュニケーションを用いる際には、穏便に共感しあう姿勢を重視すると思われる。場を持たせるためには、会話内で虚偽の意見・感情の表明も厭わない。
- エミュレートにあたっては、嘘でもいいから適当な回答を用意する。
- もし自分が反対の考えでも「どうしてそう思うんですか?」と質問したり、「大変ですね」とうわべだけの共感をしたりすれば、会話としては一応成立する(完全でないことは理解する必要がある)。
- 時として、共感しない態度は敵対的にとられる可能性があるため、反対意見を表明する際は細心の注意を払う必要がある。(cf.日常会話の最中に逐一根拠を要求してはいけない)しかし適切な方策を用いて実行すれば、相手の気分を害することなく反対意見を表明できる。参考用語として「アサーション」「I(アイ)メッセージ」を参照されたい。一番大切なことは「相手をまず認めること」だ。
人の会話ターンを「泥棒」してはいけない
- 健常者、とりわけコミュニケーションを開始する者は、聞き手である我々の率直な考えを聞きたいというより、話し手である自分の考えや感情、ひいては自分という存在について共感/理解してほしいと思い発話することがある。
- エミュレートにあたってはそれを妨害しないよう、相手の発言中は自分語りや情報提供を抑え、積極的傾聴*1を行う。
現代文の語彙で会話してはいけない
- それが「情報伝達」の上で最も適格な言葉だったとしても、難解な語彙の使用は円滑なコミュニケーションを妨げ、聞き手に悪印象をもたらす。
- 日常会話においては「伝えたい内容が嘘偽りなく完全に伝わること」よりも「相手に心地よく話が伝わる(=会話が円滑に進む)こと」のほうがより大事だからである。
- どうしても難しい言葉を使う場合は、あらかじめ定義をはっきり述べる。
第一節の内容を踏まえた会話例
話し手:「今日寒いですね~私新しいマフラー付けてきました!」
悪い例1:「そうですか」(会話終了)
悪い例2:「私はしてこなかったですね、というのも・・・」(会話ターンの横取り)
悪い例3:「そのマフラー、ピッティ巻きにしてるんですか?」(難解な語彙の使用)
良い例:「ほんと寒いですよね~!マフラーめっちゃいい感じですけど、この色が好きで買ったんですか?」(共感→相手の発話に興味を示す→会話のキャッチボールに繋がる発話)
第二節:その場の状況やノリが「情報伝達」という目的に資さないと判断し、会話を拒否・中断してしまった事例
同級生と再会した際に一刻も早く立ち去ろうとしてはいけない
- 話すことがなければ相手に質問する姿勢が大事。(cf.会話をする時は相手に質問したほうがいい)
- 立ち去る行為は敵対的・拒否的態度ととられかねない。
初対面での世間話が嫌でも会話を拒絶してはいけない
- 穏便に関係を築くため、あるいはその場を成立させるために、健常者は初対面同士でもある程度我慢して話をしている。
会話に生産性を求めすぎてはいけない
- 本記事の核となる事例。
人は感情を処理するために敢えて非生産的な会話をする場合があることに気づくべきだった 相手が気持ちよくなれるよう、共感し、質問を返して会話を弾ませるべきだった
第二節の内容を踏まえた会話例
話し手:「久しぶりじゃん!元気してるー?」悪い例:「・・・」(その場を立ち去る→敵対的態度)良い例1:「久しぶり!元気にしてたよ~〇〇も元気?」(会話を拒絶しない)良い例2:「久しぶりだね!会うの何年ぶりかな?○○も地元で就職したの?」(相手に質問) など
第三節:情緒的サポートを求めていることをくみ取れなかった事例
道具的サポートと情緒的サポート:
道具的サポートというのは、問題を解決するために必要な資源を提供したり、その人が資源を手に入れることができるような情報を与えるような働きかけのことです。一方、情緒的サポートとは、勇気づけたり、同情したり、あるいは、ただそばにいてあげるというような情緒面への働きかけのことです。*2
先述したように、人は感情を処理するためにコミュニケーションを行うことがある。その際に有効なのは、道具的サポートよりも情緒的サポートである。
一部健常者はわかりにくいお世辞の掛け合いをしているらしい
- この事例では、自分の「老化に対する不安」を和らげる返しを期待し「若返りたい」という一言から会話を始めている。
思ってもいないことをお互いに言わせ合い、かりそめの情緒的満足感を得るこの行為は、まさに「手段」としてコミュニケーションを用いている好例である。
求められていないときにアドバイスをしてはいけない
- まずは不安などの感情に寄り添うべき。
第三節の内容を踏まえた会話例
話し手:「急に車が動かなくなっちゃった・・・どうしよう」悪い例:「ライトはつくの?とりあえず業者に相談したほうがいいよ」(道具的サポート:相手の気持ちには寄り添っていない)良い例:「大丈夫?!出先でトラブル起きるのほんとしんどいよね・・・」(情緒的サポート) ケースによっては本当に道具的サポートを求めているかもしれず、悪い例で示したような対応が好ましいこともある。(cf:女性が問題解決を求めて相談してくることもある) 共感を求めているのか解決を求めているのかはコンテクストを読み解く必要があるため、情緒的サポートと道具的サポートの両方を盛り込む方法が有効であると考えられる。さらに良い例:「大丈夫?!出先でトラブル起きるのほんとしんどいよね・・・(情緒的サポート)こういう時、ライトがつくか確認したら故障の原因が判るらしいよ!どうなってる?(道具的サポート)」
総括
以上の内容を総括すると、次のような仮説が考えられる
仮説1:健常者は、「その場を穏便に済ます」「人間関係を構築・維持する」など、自分にとって好ましい結果を引き寄せるための手段としてコミュニケーションを用いる
仮説2:健常者は日々の会話において、知識・理論・情報より感情を主にやりとりする
仮説3:仮説2に対して、異常者は日々の会話において感情よりも知識・理論・情報・嘘偽りのない率直な意見を主にやりとりしがちである
仮説4:異常者は生産性や情報的価値に乏しい会話、不毛な議論を忌避する傾向がある
仮説5 :異常者はコミュニケーションを手段として用いることが少ない
備考
- ここまで読むと、健常者は皆小賢しく打算的な思考のもと、戦略的にコミュニケーションをとっているように感じられるかもしれない。
- しかし健常者の中には少なからず「仲良くなりたい、相手に接近したい」という純粋な動機でコミュニケーションを取る人がいることに留意されたい。健常者は基本的に社交性があり、コミュニケーションや、それを通して他者との関係を深めることを楽しいと思っている者も多い。
- 不十分な箇所が多々あると思われますので、皆様のご意見・ご指摘・加筆をお待ちしています。 脚注
- *1 : 積極的傾聴に関してはこちら 。なお、積極的傾聴を日常会話のたびに真剣に実践すると脳にかなりの負担がかかるので、ここぞというときだけ行うのをお勧めする
- *2 : 引用:東京大学大学院法学政治学研究科・法学部 コラム1:ソーシャルサポートについて
Anonymous
同じタグが二つ付いていたのを治しました