5W1H+Then状況説明
Who(誰が) | 筆者が |
When(いつ) | 心理士によるカウンセリングを受けていた頃 |
Where(どこで) | かかりつけの精神科で |
Why(なぜ) | 「カウンセリングの場で洗いざらい話すことで楽になるのではないだろうか」「早く自分の過去を整理して『健全』な人間へと戻りたい」という思いから |
What(何を) | 担当心理士に対して |
How(どのように) | 家族との確執、幼少期の性被害経験、いじめ経験などをカウンセリング時間いっぱい止めどなく話した |
Then(どうなった) | 辛い記憶を無理やり掘り起こすことによってその当時のキャパシティでは抱えきれないほどの精神的負担を受けてしまい、フラッシュバックや解離発作に日常的に襲われ苦しんだ |
前提条件
- 筆者は担当心理士のことをかなり信頼しており、「この心理士であれば話せば何とかしてくれるはず」という他力本願な思い込みがあった。 筆者は比較的裕福で社会的地位の高い両親の元で育ち、精神疾患を発症した後も周囲からは「なぜあのようないい家庭で育ったのに(筆者はメンヘラになってしまったのだろう)」というような冷淡な視線に晒されていた。故に鬱憤が溜まっており、誰かに家庭で受けた理不尽な仕打ちについて吐き出したいと言う欲望に駆られていた。
健常行動ブレイクポイント
- 「辛い経験を誰かに共有する」という行動は一見精神疾患の治療に有用であり、「穏当な手段」のように感じることもあるだろう。しかし「話す」「発信する」ことは当人にとって過度な負担に転じてしまうリスクもある。
- カウンセリングは「優しいカウンセラーに慰めてもらう癒しの時間」と誤解されることもしばしばある。 しかし実際には患者本人にとって「自分自身に能動的に向き合う、治療のための試練としての時間」として作用することを理解していなかった。
- 精神的に辛い時期に「トラウマ」となってしまった経験に真正面から向き合うことは過剰な苦行となり得ることを理解しておらず、無謀にも自分のキャパシティを超えた行為に挑んでしまった。
どうすればよかったか
- 辛い記憶を掘り返すことはほどほどにとどめ、焦らず治療を進めるために自己コントロールを図るべきだった。
- 「全てを話しても心理士が何とか導いてくれるだろう」というような他力本願な姿勢を改め、「どのような目的でカウンセリングを行うか」について能動的に方針を定めるべきだった。
- 「話す」「分かち合う」ということの効能について過信しすぎず、負担とならない範囲で少しずつ自分と向き合うべきだった。
備考
- 主治医に「カウンセリングを進めてから辛い」と打ち明けたところ、 「今のあなたは無理にこじ開けた傷口がほったらかしになっている状態。カウンセリングはゆっくり進めるべき」と忠告された。
- 医学的な治療と並行してカウンセリングを受けることはしばしば有効であるが、同時に「どのような目的でカウンセリング治療を行うか」というようなことについても着実に心理士とすり合わせを行うことが必要だと実感した。
- あくまで筆者の私見であるが、トラウマとなった出来事について思い出す行為は「差し迫った必要な理由がなければ」最小限にとどめた方がベターである。放っておいても問題が起こらないのであればそれに越したことはない。